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2008年10月12日 (日)

『 おくりびと 』

Okuribito
『 おくりびと 』公式サイト

久々の映画。浅葱ヨウコさんと一緒に『おくりびと』を見てきました。モックン主演と聞いてちょっとピクっとはしていたんですが、「納棺師」のお話と聞いて物珍しさから興味がわきました。「納棺師」。それは亡くなった人を死装束に着替えさせ、死化粧などを施して遺体を整え、お棺に納めることを職業とする人たちのこと。肌を晒すことなくてきぱきと死装束に着替えさせてしまう技術とか、本当にあっぱれで、純粋に職人業として見ていて感動いたしました。死ぬと魂が肉体を離れるという考え方はほぼ万国共通のようですが、死体の扱いというのは宗教や文化圏によって結構様々なようで、中でも日本はかなり遺体を丁重に扱う風習を持っているらしいです。元々納棺の儀は故人の遺族が行っていたもので、それが葬儀屋が請け負うようになり、さらに特別技術として派生したのが納棺師という職業らしいのですが、この奥深い職業も今は都会ではあまり見なくなった風習なんですかねえ?(映画の舞台は山形)私が立ち合ったことのある身内の葬儀3回の中でこんなことを行ったのは見たことがありませんでした。じい様もばあ様も叔父さんも……訃報の次には棺の中だったしなあ……しかも…この映画にあるような、まるでまだ生きてるような生前の面影を残したままではなかった記憶があります……。(小さく、冷たくなっちゃったなあ…ってイメージがしましたね)あ、でも愛犬が死んだときは獣医さんがすごく気を遣ってくださって、死後硬直で苦しそうに口を半開きにして表情を強ばらせ、全身汚れていたうちの犬を綺麗に洗って乾かして、毛並みフワフワの状態で返してくれたんですよね。表情も寝てるみたいな安らかな顔になってて。あの時は驚きました……。…脱線しましたね。(でもこんな気持ちなんだろうな。相手は人間ではなかったけど)ともあれ、別にお涙頂戴な映画が見たかったわけではなかったのですが、観賞後は素直にいい映画だと思えました。自分の夢や才能に限界を感じて都落ちする主人公の気持ちや、職業による社会的地位、親の身勝手、子の身勝手、肉親への愛憎、そしてどんな人間にも必ずやってくる「死」。若かろうとも、老いていようとも。こういう風に並べると何となくネガティブなイメージがしちゃいますが、この映画はそういう問題全てをひっくるめてどこまでも優しくて尊い。(序盤は結構シュールなギャグに笑わされるし)でも「癒される」というよりは「身にしみた」と言った方が感想としては近いかな。つくづく自分も歳とったと思います。(汗)自分も中途半端にしていることとか、親子とか家族とかの問題が大小いろいろあるんで(汗)「あの人が死んだとき」「自分が死んだとき」「私はどう思うんだろう?」「どう思われるんだろう?」「このままでは良くないのは解ってるんだけどなあ……」とかいろいろ思いが巡ってしまって、故にこの映画は見た人に様々なイメージで語りかけてるんだろうなあ……とか思いました。それって良作の証しだと思う。あとキャスティングが良かったですねー。主人公役のモックンも普通に等身大な感じで良かったし(本当に優しい人って感じ)、脇役陣も見事にハマったベテラン役者で固めてて、そして何と言っても絶大な存在感のある、主人公を雇う納棺会社(NK(ノー・カン)エージェント(笑))の社長役の山崎努!!あのどんな場面でもしれっとしている読めないオヤジっぷり最高ーー!!やっぱオヤジ最高だよ!(笑)先日素敵カレセン代表の緒形拳の訃報にショックだったので、実に貴重な人材だーー!とかつくづく思ってしまいました。

そしてもう1つこの映画に華を添えているのは音楽だと思います。音楽担当が久石譲さんだと予め知っていたのですがいい具合に挿入されてました。そして何とも叙情的なメインテーマ。主人公が元チェリストという設定でもあるので、チェロの独奏がメインのテーマ曲なのですが、とても「染み入る」といった感じの曲で作品とのシンクロ度はバッチリでしたね。実は私も子供の頃、少々チェロはかじっていたので久々にちょっと弾きたいとか思っちゃったカモ。もうマトモに指動きゃーしないだろうし、第一手元に楽器すらないんですケド。(汗)ちなみに私は坂本龍一のファンなのですが、久石譲の音楽も好きです。何と言うか、ストレートに、特に日本人の心の琴線をつかむのには久石さんが一番上手いかもですね。坂本龍一は最高にリリカルなんだけど、やや難解なところがあるので。サントラ、私も余裕があったら入手したいです。オススメっスよ。


「おくりびと」オリジナルサウンドトラック「おくりびと」オリジナルサウンドトラック

アーティスト:久石譲
販売元:UNIVERSAL SIGMA(P)(M)
発売日:2008/09/10
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コメント

>のすくさん
おお!のすくさんは納棺師の仕事を実際にご覧になったことがあるのですか!映画では普通に喪服を着ていましたが、白衣で現れることもあるのですね。多分……実際見たら本当に神業だと思いますんで、ご親戚一同感心されたのは想像できます……。「丁寧に扱ってくれてありがとう…」……多分彼らが納棺師という職に就いて一番言ってもらえて嬉しい一言だと思いますよ、映画を見る限りは。

お葬式は人生の最後の場なのに自分でプロデュースすることができないなんて皮肉なもんだ、とも聞きましたねえ。「死に水をとる」という言葉がありますが、それは遺族がするもので……あるいは誰もしてくれない最後というのも有り得るわけで……。そこまでは知る由もないのが人生ってものなのかなあ。ある意味人間は生まれたら既に死に向かって走っているようなものですけど、そう思うと生きる意味って何なんだろうな……とか思ってしまいますよね。(汗)

ネタバレですが、映画の中で山崎努演ずる社長が故人に死化粧をするとき、「奥様が生前使われていた口紅はありますか?」と遺族に聞くシーンがあって、それによって遺影の中の笑顔そっくりに甦ってくるところがあるんですよね。家族が知る、元気な頃の故人を再現してあげる。綺麗になっても別人のようじゃ嫌ですもんね。それが本職の腕ってヤツなのかもしれません。


>浅葱さん
どうも、お忙しいところお付き合いくださいましてありがとうございました!いい映画でお互い楽しめて良かったです。そしてお互い身にしみるところが多かれ少なかれあったようでツーンと来ましたよねえ。(汗)お葬式でなくても病院にお勤めだと人の「死」に関わることが多くなるのは必然的ですよね。病院勤めも……多分自分にはキツくてできないだろうなあ。医者とかも精神的に絶対無理!とか思うんですよ。人の生死に関わるというのが…。(汗)なんでもパンフによると病院で亡くなった方には遺族と看護師で「エンゼルメイク」というのを施すのだとか。『おたんこナース』の原案者・小林光恵氏のインタビューが載ってました。遺体を綺麗にしてあげるという点では納棺師とほぼ同じなんだそうですが、納棺師は故人が亡くなってから初めて対面するのに対し、エンゼルメイクは故人が生きているときから亡くなるそのときまで付き添った人々で施す、という点みたいです。うーん……これはこれで奥深いですね……心境的にも違うと思うし…。

久石さんの音楽もとても良い映画でしたよね。おー、久石さんの影響で音楽を?ウチはある意味音楽は世襲だったので訳も解らずやらされていた……というのが本当のところなんですヨネ。そして親の思うようには育ってくれない子供。これもよくある因果関係ですかねえ?

投稿: マユミール・ド・マスコー | 2008年10月14日 (火) 23時35分

お誘いありがとうございました、良い映画を見ることができましたよ~。
本当に、観る人それぞれが自分の立場で色々なことを想うであろう映画でしたね。私も問題から目を逸らして生活している部分があったりしますので、結構堪えました。
納棺師、本物にお目にかかったことはありません。私は身内よりも仕事でそういうシーンに遭遇することのが多かったのですが、なにせ病院だったので事情が違いましたなぁ。身体を拭いたりするのは、基本看護婦さんのお仕事でした。お化粧セットとか、ちゃんと用意してあるのですよね。看護婦達もとてもやさしく扱っていました、映画を観ながら思い出してしまいました。
生き物が避けられないどうしようもない部分(命)にかかわる仕事をされている方々には、頭が下がります。
それにしても久石譲さんの音楽は素敵でした~。
私が音楽をやるきっかけになったのは、久石さんの音楽ですから!ナウシカ!

投稿: 浅葱 | 2008年10月13日 (月) 22時29分

納棺師、ですか…。
うちの祖父が亡くなったとき、納棺で、葬儀会社から、白衣を着た、納棺をする人がきて、20代で若いのに、このお兄さんの技術がすごくて、肌を見せないように服を着替えさせたり、仕草が丁寧で、一同驚いて、終わった後「すごいね~どこで勉強したの~」と質問攻めにしたり、母が「丁寧に扱ってくれてありがとう…」と泣いたりしました。たぶん、あれが「納棺師」なのかなあ…。葬儀会社のグループで、研修する専門の場所がある、とお兄さんが言ってました。
葬儀…。一生の終わりのことなので、葬儀についてのあれこれは、のちのちまで思い出しますよね…。前に新聞で、うちの母はこんな口紅をしないのに、ピンクの口紅の死化粧をされて、それがずっと引っかかっている…という記事をみましたが…。葬儀会社や、遺体を修復するエンバーマーや…。人の最期に関わる仕事は、本当に、失敗できないプロの仕事ですよね…。葬儀会社の広告で、ご満足いただけなかったらお代はいらない、というのを見たことがありますが、その心意気たるや、どれほどのものなんだろうと思います…。

投稿: のすく | 2008年10月13日 (月) 18時46分

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