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2009年10月17日 (土)

『 空気人形 』

Kukiningyo
『 空気人形 』公式サイト

ここんとこなかなか自分の空き時間も友人の空き時間も不特定な感じなんで上映が終る前に足早に見に行ってきました。是枝監督の作品はあの話題作『 誰も知らない 』を実はまだ見ていない。…ので見たことあるのは『 花よりもなほ 』だけなんですけど、この監督の作風は……多分結構好きです。割と日常の中にある非日常をリアルに描くタイプの監督では…と思うんですが、本作は異例の原作付きなせいかすごくファンタジーでした。いえ、人形に命や心が宿って動き出すというだけでもファンタジーなんですが、全体的な世界観も非常にファンタジーだったなあ、と。だから物語じみた少々強引な展開もあったような気はするのですが、雰囲気は……すごくいい映画だった。下手するとすごく生々しくてエログロになり兼ねん内容なんだけど、タイトルの如くすごく透明感があって……綺麗でした…。舞台が東京の下町で(築地周辺らしい。対岸は汐留か?豊洲か?)、近代的な高層ビルの合間にぽっかり残った汚くてボロボロの昭和臭残る地域。そこで行き交う体が空っぽの人形と心が空っぽの人間たち。都会は寂しい人間が多いんだな、と改めて思いましたねえ。映画館でのキャッチコピーが「心を満たす愛の物語」とか書いてあったけど、切な過ぎて満たされなかったよ、私ゃあ。 ( T _ T )

うだつの上がらない中年男・秀雄が溺愛する「のぞみ」は空気人形(=ダッ●ワイフ)。もの言わぬ「理想の恋人」として愛でられ、彼の性欲処理をする「代用品」。ある日空気人形は突然目覚め、動き出す。主の留守を見て初めて外の世界に飛び出した空気人形。全てが珍しく、全てが美しく、「命」の眩さに心をときめかす空気人形はふらっと入ったレンタルビデオ店で働く青年・純一に恋をする。彼の中に自分と同じ空虚感を感じたから…。昼間主が出かけている間、その店でアルバイトをすることに決めた空気人形。生まれたばかりの赤ん坊同然の彼女はトンチンカンな反応をしながらも愛する人の側にいたいと、懸命に「人間」を観察し、「世界」を学ぼうとする。夜は秀雄の相手をしに家に戻らなければならないけれど、純一や出会った様々な人々から教えてもらった新しい世界が楽しくてたまらない一方、純一に寄せる想いが深くなればなるほど、自分が完全な人間でないことへのコンプレックスや秀雄との関係に悩み始める空気人形だった……。そんなある日、バイト中に腕を釘に引っ掛けてそのビニール製の肌を破いてしまい、勢いよく抜け出す空気と共に萎んでしまった空気人形。駆けつけた純一は信じられない光景に戸惑いながらも即座に空気人形の傷をセロテープで塞ぎ「栓」から息を吹き込んで彼女を甦らす。衝撃的出来事ではあったが、愛する人の「息」で体内を満たされた空気人形は幸福感に包まれ、人間と同じように「ただ一度きりの人生」を歩むべく、命綱である空気入れのポンプを捨て、主である秀雄を捨て、拠り所を失い人間の汚さに踏みにじられながらも心に決めた愛する人の元へと行く……。

…ここまでだとハッピーエンドへの岐路も残されてはいたんですが、実はこの後にとんでもないどんでん返しがあるんですワ……。それはここでは伏せておきますが、空気人形の子供のような無垢さが仇をなして呼んでしまった悲劇なのでそりゃもう……いたたまれないエンディングでしたよ…。あらすじだけ書くと主要人物が3人しかいないように見えますが、ストーリーの進行と直接関係なくてもこの舞台を埋める、都会に暮らす様々な寂しい人々の描写が秀逸でありました。母親が蒸発した父子家庭だとか、過食症の女性だとか、加齢コンプレックスが隠せない微妙な年頃の独身女性、(恐らく)統合失調症のおばあさん、一人寂しく人生の終焉を迎えようとしているおじいさん、リストラされて家族から見放された中年男性、生身の女性とコミュニケーションが取れずメイド喫茶やフィギュアで欲求を満たすオタク青年……など。(ちなみに私服姿ではどう見ても極道なギャング映画好きのお巡りさんの役を寺島進がやっているのは個人的に萌え(笑))ただ空気人形が想いを寄せる純一(ARATA)がその寂し気なルックスや語り口につかみどころのない魅力を感じる人物ではあるんだけど、謎が多くてですね……彼が抱いていた空虚感って結局何だったのか?彼女がいた、という描写はあるんだけどこの描写も微妙で。何?死別?それとも単に別れた後も忘れられない系?そして何故あんな景気の悪そうなビデオ屋でアルバイトしてる身なのに妙にリッチなマンションに住んでいるのか?そして……(ネタバレ)空気人形に息を吹き込むことにあんなにカタルシス感じてるのって……この人も何かのフェチ持ちなのか?彼女の正体知ってもそんなに驚いてなかったし。(汗)この辺が不透明過ぎて、故にちょっと展開が強引に感じたのでありました。でも空気人形はひたすら無垢で可愛い。ルックスといい、慣れないカタコトな喋り方といい、ペ・ドゥナの起用は大抜擢だったな、と。なんか……整形してます?彼女。(汗)韓国人の女の子は芸能人でなくても嗜みとして普通に整形してるって言いますけど。(汗)すごい「人形顔」なんですよ、ハイ。いや、スーパードルフィーみたいな美形顔の人形じゃなくてですね……ラブドールっぽい独特の東洋人顔。(何言ってんだか)そしてスタイルいいですねー。どっちかって言うと着痩せするタイプですか?長い脚がステキ。メイド服着たときのニーハイソックスに何の違和感もなかったですよ。今回ヌードだらけだったけど頑張ってましたね。女優だ!あとキャスト陣では短い出演時間ながらもオダギリジョー演ずる空気人形の生みの親の人形師がいい感じでした。「創造する者」ということである意味「神」の擬人化的な意味も込められたキャラクターなんだそうですが、ダッ●ワイフ作ってる人なのにすごい清潔感があってアカデミックな魅力漂っていて……ファティママイトみたいだった。(爆)← 多分『 FSS 』知ってる人なら皆同じこと思うと思う。

映像はとても綺麗。でも内容的には見る人を選ぶタイプの映画かな〜〜。あ、World's End Girlfriend のサントラもとても良かったです。特にテーマ曲が切なくて作品ととてもマッチしていました。個人的に空気人形にいろいろ語りかけるおじいちゃんのセリフで血の通わない空気人形の手を「手の冷たい人は心が暖かいと言うよ」には思わずジワッとしてしまった。何故なら私も普段手先の冷たい平熱の低い(ついでに血圧も低い)冷血爬虫類人間だから。(爆)何だか私まで励ましてもらった気になってしまった。(病んでるな、自分も…)ああ、冷たいと言えばですね、この映画を見たお陰でつい今時のダッチ●イフってどれくらい進化してんだろうと調べてみてしまったんですが、スゴイです。ああいう空気で膨らますビニール製の人形なんて旧式も旧式なようです。最近のはシリコンで作られてて物凄く肌の質感もリアルで骨入りなのでポージングも自由自在。顔の造形もリアルだし、勿論大きさも等身大。髪(ウィッグ)やメイク、スタイルがカスタムできるのは想像の範疇だったけど肌や某所の色や植毛もお好みでカスタムできるとかあって絶句でした……。実際すっげえリアル。こんなのウチのベッドの上にいたら怖過ぎる!!もはや生身の女性の代わりではなくて、これしか愛せない人ってのもたくさんいるんだろうなあ……と思ってしまいました。ここまで来ると映画の中の秀雄じゃないけど本物の女は「めんどくさい」と言う男性がいるのも何となく解る。(最低…とは思うけどね)で、そういう人形専門の宿ってのがあるらしいんですよ、秋葉原に……。リアルなドールの珠に傷は体温がないことらしいんで、使用前に電気毛布で暖めとくんですって……。うはあ。人間の歪んだ探究心もここまで来ると神業に達しますね……。恐ろしいなあ。


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